悪食写真

〈雑食〉の次は〈悪食〉です。
悪食とは、普通、人が口にしないようなものを食べること。
粗末な物を食べること。
仏教で、禁じられている獣肉を食べること。
と、いう意味のようです。
〈げてもの食い〉とか、〈いかもの食い〉と言っても良いかも知れません。

〈食〉に関しては、こういった趣味は私にはありませんが、〈写真〉に関しては悪食、げてもの食い、いかもの食いと言えるかも知れません。

私が写真を撮っていると、「何撮ってるの?」とか「そんなもの撮って面白い?」とか聞かれたり、訪ねられたりします。
「人が口にしないもの」、つまり、「人が撮らないもの」「取るに足らないもの」・・そういったものに箸をつけると言うか、レンズを向けるのですから、これは立派な〈悪食写真〉と言えます。

とは言っても、げてものばかりを好んでいるレンズを向けている訳ではありません。
人並みのものもちゃんと頂きます。
やはり、ここでも、食い意地の張った〈雑食〉ということに話しは落ち着くようです。

口に入るものなら、なんでも放り込んで、戻すことはなくても、消化不良はしょっちゅうです。

CB C8 11 002 東京都品川区
東京都品川区 / LEICA M8 + SUMMILUX-M 35mm F1.4 ASPHERICAL

錆の浮いた波板にはよくレンズを向けます。
しかし、この写真の場合の主役は〈洗濯バサミ〉です。
錆びた波板の上に洗濯バサミがあるということは、ここに何か干すのでしょうか。
波板の錆が干し物に着かないか・・などと、考えてしまうと、「写真撮ろう・・」ということになります。


CB0531.151 長崎市 M8 UCH35 2
長崎市 / LEICA M8 + UC HEXANON 35mm F2

長崎の石段に捨てられていました。
おそらく花束だったのではと想像しました。
ピート・シーガーの歌に〈Where have all the flowers gone?〉(花はどこへ行ったの?)という反戦歌がありますが、まさに ♪Where have all the flowers gone?♪ と口ずさみながら撮った一枚です。


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みかん猫67

雑食写真

〈雑食〉とは、植物性のものも動物性のものも食べることを言うのですが、平たく言えば、なんでも食べるということです。
別の言い方をすれば、食い意地が張っているとも言えます。

私は自分が食欲旺盛だとは思っていませんが、他の人たちの食いっぷりをみて、比較してみるといると、よく食べる方なのかも知れません。
食材で、好き嫌いはあまりありませんが、調理の仕方で、端が重くなることはあります。
鍋物はあまり好きではありませんし、とろみをつけたような調理法、甘酸っぱい味付けはちょっと苦手です。
どちらかというと、和食系を好みます。
洋食だと、シンプルなステーキが良いですね。

写真について、このことを当てはめてみると、私は〈雑食〉です。
なんでも食べますし、何でも撮ります。
食い意地も張っていれば、撮り意地(こんなことばはありませんが)も人一倍張っています。

どこに出かけるにも〈My 箸〉を持っていくといったことはありませんが、カメラは持って出ます。
My 箸が無くても手づかみで食い意地を満たすことができますが、カメラがないと〈撮り意地〉が張れませんから。

写真の調理の仕方は、素材を生かし、妙な味付けは控える。
食べ物に好みと一緒で、写真も和食系ですねかね。

いやいや、結構、脂ものも食べますし、やはり〈雑食〉ですから、写真も、実際のところは何でも撮ってしまうというのが正直なところです。


JC0608.009 福岡県糟屋郡新宮町 M9sn35a#
福岡県糟屋郡新宮町 / LEICA M9 + SUMMICRON-M 35mm F2 ASPH.

散歩のときに横を通るパチンコ屋の店内です。
最近の大型パチンコ店は決行おしゃれな作りになっています。
昔のように〈軍艦マーチ〉が大音響で流れているといったこともなく、こういった小洒落たところで食事もできるようです。
〈唐辛子〉の容器がテーブルに二つ出ているところにドラマを感じます。
うどんや蕎麦など簡単なものをさっと掻き込んで、次の勝負へと急ぐあたりは、いかにもパチンコ屋ならではです。


110303.013 福岡市中央区 EP1 g20 1.7a#
福岡市中央区 / OLYMPUS E-P1 + G20mm F1.7 ASPH.

行きつけの床屋の前にある中華料理屋のショーウインドーです。
店の中に入ったことはえりませんが、こういったものを見ると、夏場など、〈とりのから揚げ〉でビールと行きたくなります。
ただ、床屋の帰りにはあまり酒は呑みたくなりません。
床屋の香水が、妙に鼻について酒が不味くなるのは私だけでしょうか。
それにしても、この商品見本・・見るからに作り物らしくて、愉快です。


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みかん猫67

大学の授業は一時間目が9時から始まりますが、私が担当する科目が毎日9時始まりというわけではありません。
一般的な勤め人のように、毎日、定時に出勤しなければならないということはありません。
曜日によっては二時間目からとか、午後からのときもありますから、簡単に言えば授業に間に合うように出勤すればよい訳です。

そうは言っても、授業時間になったら教室に行けばよい・・・と言うほど簡単ではありません。
いまどきの学生は予習復習なんてしませんが、教師は、その予習復習が必要ですので、授業の前には予習のための時間が必要です。

忙しいときには自宅近くのバス停からバスに乗って、大学近くまで行くものですから、写真どころではありません。
そんなことを繰り返していると、ちょっとストレスのようなものを感じるようになります。

時間に余裕のあるときには、寄り道をしながら大学まで歩いて出かけます。
歩いたり、寄り道したりする理由は日頃の運動不足解消ということもありますが、なんといってもシャッターの音を聞くためでもあります。
シャッターの音を聞くと精神安定に繋がります。
歩いて写真を撮ると身体にも、精神にも良いということです。

寄り道ルートはその日の気分で変わります。
今日は、午後あたりから空模様は下り坂と天気予報では言ってましたので、明日からまたバス通いになるかも知れません。
そこで、山道を歩いてみることにしました。

自分の吐く息が白いことに気づきました。


JJ J2 06 012 福岡県糟屋郡新宮町 NEX 5N a20 2.8#
福岡県糟屋郡新宮町 / SONY NEX-5N + A20mm F2.8


JJ J2  06 011 福岡県糟屋郡新宮町 NEX 5N a20 2.8#
福岡県糟屋郡新宮町 / SONY NEX-5N + A20mm F2.8

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みかん猫67

季節は移り・・

師走にはいり、ようやく冬らしくなってきました。
福岡は日本海型気候の土地ですから、冬は、玄界灘から吹き付ける冷たく強い風と、暗く重い空模様の日が続きます。

私の家は道路から数段の階段を上った先に玄関があります。
風には、風の通り道というものがあり、この季節の風は我が家の玄関に向かう階段を駆け上ってくるようです。

風はいろんなものを運んできます。
それを、階段の下に置いていくから困ったものです。
なかでも一番多いのが枯れ葉です。
風が運んだ枯れ葉が、誰かが階段の上り口のところに掃き集めたように積もっていることがあります。

そんな光景を眺めたとき、「焼き芋でもしたらどうですか?」 と、狐や狸が枯れ葉を集めてくれたのかとも思えました。
しかし、住宅街で焚き火はできません。
狐や狸の世界では木の葉はお札に化けるとか・・・どうせなら、枯れ葉をお札に変えてから、家の前に積み上げてくれると助かるのですが。
そんなことを考えていると、朝の掃き掃除も楽しくなります。


JJ J2 02 005 福岡市東区 M9 SO50 1.5ZM#
福岡市東区 / LEICA M9 + SONNAR 50mm F1.5 ZM

自宅近くのバス停からの眺めです。
街路樹も葉を落とし丸坊主です。
民家の外装工事のネットに写る木の影と、それを浮き立たせる朝の光が印象的でした。

JJ J1 03 007 福岡県糟屋郡新宮町 NEX5N E18-55 3.5-5.6#
福岡県糟屋郡新宮町 / SONY NEX-5N + E18-55mm F3.5-5.6

すっかり枯れてしまった夏草の上に蝶が弱々しく止まっていました。
季節を間違えて生まれてきた蝶に、こころを重ねてみました。
哀れに思うとか、頑張れと声援を送るとかこういったことではなく、ただ一言「大丈夫かい」と言葉をかけ、写真を撮らせてもらいました。

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みかん猫67

大学を卒業後社会にでることもなく、そのまま大学に残りました。
教育に情熱をもって、大学に残る事を望んでいた訳ではありません。
ただ、卒業後の環境の変化に対応するのが面倒だから、大学に残れば面倒な引っ越しをしなくても良いし、今の生活をそのまま続ければ良いという無精者の理屈で、大学に残る話に乗っかったという次第です。

そのような、いい加減な切っ掛けで始まった教師経験も随分と長くなっています。
教師としての日々を振り返ってみたとき、特に教師としてある程度一本立ちして、自分のゼミを持つようになってからは、学生の成長を促すためにも、常に学生たちと対峙した関係に身を置くように努めてきました。

もちろん憎しみ合う関係というのではありません。
一緒に仲間の輪をつくる関係ではないということです。
私は教師ですから、学生の輪には入り込まないようにしてきました。
ちょっと格好つけた言い方をさせてもらうなら、常に学生の前を歩くように心がけてきました。

これが良いことなのかどうかは分かりません。
学生と一緒になって愉快な指導をするのが今風なら、私の方法論は時代に逆行していることは承知ですが、それが私の言わば子育て法です。

しかし、私も歳です。
若い学生の前を歩み続ける体力がなくなっているのに気付いています。
『軌道回帰』は写真家、植田正治さんの作品集のタイトルですが、そろそろ、教師生活のスタートを切ったときのように、学生たちと一緒になって、楽しく写真をする・・・『軌道回帰』するのに良い時期なのかもしれません。
世間一般の孫とおじいちゃんの関係のように。


JJ J1 06  007大分県日田市 α77 DT16-50 2.8SSM#
大分県日田市 /  Sony α77 + DT16-50mm F2.8 SSM


JJ J1 06  031大分県日田市 α77 DT16-50 2.8SSM#
大分県日田市 /  Sony α77 + DT16-50mm F2.8 SSM


上のような文章を書くと、歳の所為で弱気になったと思われるかもしれませんが、腹の中ではまだまだ若い奴らとがっぷり四つに組んで、土俵に真ん中に叩き付けてやる元気は失っていませんので、ご心配はいりません。

今日の二枚の写真は、私がまだ駆け出しの頃、学生たちの前を歩く力もなかった時代に学生だった、卒業生たちと一緒に、大分県の日田に撮影に出かけたときに撮ったものから選びました。
彼らも卒業して30年くらいになるのでしょうか。
老人の歩調に合わせて歩く余裕みたいなものが身に付く歳になったようです。
なのに、還暦を過ぎた爺が、力技を見せつけるのも可愛げがないというものでしょう。
と、気付いた次第です。

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みかん猫67

極上の忘年会

年末とくれば忘年会です。
職場の忘年会は、いろいろとしがらみがあってこころから楽しめないところもありますが、写真仲間や卒業生たちなど、愉快な仲間たちとの忘年会なら話しは別です。

この一年もいろんなことがありましたが、みなさんパ〜ッと憂さ晴らしをして、嫌なことは忘れ、来るべき新しい年を元気に迎えましょう・・と云うのが〈忘年会〉です。
でも、忘れたくても忘れられないこと、忘れてはいけないこともあるというものです。
そんな、堅苦しいことは、それぞれの胸の奥に仕舞い込んでパ〜ッと愉快なひと時を過ごすことで気持ちが軽くなれば極上の忘年会というものです。

卒業生から忘年会の誘いを受けました。
この仲間は11月にも、大分県の日田に〈撮影&鰻〉の日帰り旅行に誘ってくれた連中です。
撮影会といい、忘年会といい、しょぼくれ爺にエネルギー注入・・・と、声をかけてくれているのでしょう。

考えてみれば、この連中、私のゼミの卒業生ではないのです。
私が大学に残って間がない頃、自分の研究室を持てずに小間使いのような仕事をしていた時代の学生たちなのです。
覚えていることと言えば、ソフトボールをして一緒に遊んだことばかりです。
幸な記憶を共有している卒業生たちなのかも知れません。

JJ J2 03 004 福岡市東区 忘年会 NEX5N a20 2.8#
JJ J2 03 005 福岡市東区 忘年会 NEX5N a20 2.8#
JJ J2 03 007 福岡市中央区 忘年会 NEX5N a20 2.8#

極上の忘年会で、ワインも呑みました。
実は私はワインによワインです。(駄洒落です/弱いんです)
あんまり楽しかったので、調子にのったてワインを呑んだら、案の定、少々、足にきているようで、久しぶりの千鳥足。

前を行く卒業生たちは、私に気を使ってくれてか、振り向くこともなくゆっくりと歩いてくれていました。


JJ J2 03 008 福岡市中央区 忘年会 NEX5N a20 2.8#
福岡市中央区 /  Sony NEX-5N + A20mm F2.8

JJ J2 03 009 福岡市東区 忘年会 NEX5N a20 2.8#
福岡市中央区 /  Sony NEX-5N + A20mm F2.8

記念写真を撮ってくれているお姉さん。
ちゃんと両方も目を見開いて撮ってます。
普通、アマチュアの人って、ファインダーを覗いていない方の目は瞑るものなのですが。
ちゃんと脇を締めてカメラを構えているし、このお姉さん、ただ者でないかも知れません。

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みかん猫67

そろそろ来年度の準備

大学もこの時期になると、入学試験も始まり、来年度のことが話題になり始めます。
私たち教員は次年度の担当科目を決めたり、授業の内容などを考え、〈シラバス〉(授業計画)を作成しなければなりません。
今年の授業の実績と反省をふまえて、来年度の授業計画をたてるのですが、今年の授業を振り返らなければならにので、これがなかなか厄介な仕事なのです。

頭を痛めて作成する〈シラバス〉ですが、案外、学生たちは読んでくれていません。
毎年、最初の授業で「シラバスを読んでくれた人?」と聞いてみると、クラスで一人二人くらいしか手が挙がりません。
必修科目は、授業を受けて単位を取らないと卒業できませんからシラバスは見ないということもあるかも知れませんが、選択科目も同様に読まないようです。
選択科目は授業科目名と単位習得が易しい教員かどうかで選んでいるようです。

学生たちが、自分の所属コースを決めたり、研究室を決めたりするのもこの時期です。
私の所属する〈写真映像学科〉では、入学後一年間は写真と映像の基礎教育を一緒に受けますが、二年生から〈写真〉か〈映像〉どちらかののコースを選択し、それぞれのコースの開講科目を受けることになります。
その後、三年生になるときには所属する研究室を決めなければなりません。
自分の将来に関わってくることなので学生たちは大いに悩むはずです。

そうだと思いたいのですが、実情はそれほど深刻でもなさそうです。
「こっちのコースの方が楽しそう」「友達が居る」「卒業させてくれそう」といったことでコースを決める学生も少なくはないようです。

二年生が数人、進路について相談に来ました。
二年生ですから、所属する研究室を何処にするかの相談です。
私の居る〈映像メディアコース〉の学生も〈写真表現〉の学生も居ました。

定石通り将来どのような職に就きたいのか、卒業制作・研究で何をテーマにしたいのかと聞き始めるのですが、問題は自分の将来をイメージできない学生へのアドバイスです。
おそらく、「私の研究室にきて一緒に写真をやろう」と言って欲しいのだろうと思わないでもないのですが、へそ曲がりの私は決してそんな誘い文句は言いません。
写真をやりたいという意識を持った学生でなければ、写真以外の専門研究室を勧めるのが常です。

私の所属するコースは、映像と情報を学ぶコースですから、写真をやる・・なんて学生はおそらく居ないはずです。
それでも、写真は楽しい行為ですから、その魅力に気づいた学生たちが毎年、数人来てくれるのは嬉しいことです。

JJ J1 06  046大分県日田市 α77 DT16-50 2.8SSM#
大分県日田市 /  Sony α77 + DT 16-50mm F2.8


JJ J0 20 001 福岡市東区 NEX5N E30 3.5M#
福岡市東区 /  Sony NEX-5N + E30mm F3.5 MACRO

この季節になると渡り鳥の姿をよく見かけるようになります。
厳しい季節を迎えた土地を飛び立ち、気候の良い土地で過ごすべく大海原を命がけで越えてやってくるのでしょう。
楽して卒業させてくれる研究室を選ぶのも、鳥が気候の良い土地を目指すのと同じで、生き物の本能なのかもしれません。
ただ、鳥たちは命がけで渡ってくるのです。
ぬるま湯的楽天地をふらふらと目指す人間とは本質的に違いますよ。


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みかん猫67

11月の柿

先日、親御さんから送られてきた、卒業生の死を知らせる〈喪中はがき〉のことを書きましたが、また心にしみる卒業生の喪中を知らせるはがきが届きました。
そのはがきは、奥さんから送られてきた〈喪中はがき〉です。
亡くなったのは卒業生。

卒業生の最年長者も50歳を越えるようになりましたが、いずれにしても私よりは若いのです。
若い人が早世する原因は、ストレスを抱えてしまう現代社会によるもの・・なんて、短絡的な考えはありませんが、暮らしにくい世の中ですから、世間の荒波を頑張って泳いでいるうちに、息が続かなくなってしまうということもあるでしょうね。
このようなケースの場合、子供がまだ幼いと、不憫でなりません。

卒業生の顔を思い出すとき、それは決まって写真に写った顔です。
今回、訃報に接したO君の場合、卒業式の日に、ちょっと不似合いなスーツ姿で、マグカップを手にカメラに向かって笑っているスナップ写真です。
この卒業式が彼の卒業の日だったのか、ゼミの先輩の卒業の日だったのかは定かではありませんが、一枚の写真に納まったO君の笑顔は、記憶に刻まれています。

小津安二郎監督の『東京物語』で、長年連れ添ってきた奥さんが亡くなった朝、尾道水道に昇る朝日を眺めていた老人が「きれいな夜明けじゃった」「今日も暑うなるぞ」と言うシーンがあります。
最愛の人が亡くした人にとって、その日は特別の日であるのでしょうが、昨日と同じように、夜が開け、暑い一日が始まる・・・世間は何も変わらない・・・といった、小津さんの無常観が伺える台詞で、このシーンは大好きです。

初冬の空を背景に柿の実が一つ枝に残っていました。
何故だか分かりませんが、この柿の木によくレンズを向けてきました。
11月の写真を探してみたら、三枚見つかりました。

11月7日、22日、30日に撮ったものです。
いずれの場合も青い空が背景に広がっています。
悲しい知らせを受け取った次の朝、やはり、柿の実は青空に映えていました。


JJ J1 07  003 福岡市東区 M9 ST35 2.5#
福岡市東区 /  LEICA M9 + SUMMARIT-M 35mm F2.5


JJ J1 22 003 福岡市東区 NEX5N Sa28 5.6#
福岡市東区 /  SONY NEX-5N + Summaron 28mm F5.6


JJ J1 30 004 福岡市東区 NEX5N SO50 1.5ZM#
福岡市東区 /  SONY NEX-5N + SONNAR 50mm F1.5 ZM

二枚目の写真と三枚目の写真を撮った間は一週間ほど経過していません。
その間に柿の実がみんな落ちたとは考えられなくて、おそらく収穫されたのでしょう。
野鳥のために一つ残された柿の実の色が、悲しい知らせを聞いた身には、妙に印象的でした。

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みかん猫67

今日も五時間

歳をとるといろいろと体にガタがくるものです。
私もいつくかの持病というものを抱える歳になりました。
素人考えなのかも知れませんが、それぞれの病は今日明日のうちに私の命に係ってくるというものではないと思っています。
しかし、油断大敵です。
一病息災などと昔から言いますが、病も二つ三つとなってくると、息災なんて言って居れないというものです。

今日はそのうちの一つの持病の治療ために福岡市内の病院へ出かけてきました。
自宅の近くにあるかかりつけ医からの紹介で評判の良い大病院で診てもらっています。
かかりつけ医の手に負えなくなったということなのかも知れませんが、そろそろ本格的に治療をした方が良い時期なのでしょう。

その病院は他の病院では考えられないくらい多数、私の持病の専門医を抱えているらしく、その系統の病気なら○○病院・・と言われるくらい評判が良いのです。
評判が良いから、患者も多く押し掛けます。

初診のときも、いろいろと検査を受けてたあと、医師の診断を受けるまでの待ち時間は三時間以上でした。
病院の玄関を入って出るまで、五時間少々。
こんんなに待たされたら、本当に病人になってしまいそうです。
おっと、私は既に病人でした。

外来の診察をする診察室は5〜6室使って、それぞれで医師が頑張っているようなのですがなかなら捗りません。
あまり待たされるのでイライラしてきます。
廊下兼待合室で、患者の皆さんは従順におとなしく、ひたすら待っている様子をみていて気づいたことがあります。
イライラする元気が私には残っている。
まだまだやれるということを。


JJ J1 30 005 福岡市博多区 NEX5N SO50 1.5ZM#
福岡市博多区 /  LEICA M9 + Sonnar 50mm F1.5 ZM

病院に向かうときの気分は、もちろん気が重いものです。
それでも何か気晴らしになるようなものはないかと、目は周りを彷徨います。
道沿いにある小学校の体育館です。
中に入ったことがありませんので、詳しいことは分かりませんが、この体育館は道路より下にフロアがあります。


JJ J1 30 009 福岡市博多区 NEX5N SO50 1.5ZM#
福岡市博多区 /  LEICA M9 + Sonnar 50mm F1.5 ZM

病院を出て帰り道で、昼間撮った体育館を再び撮影しました。
放課後のバスケットボールの部活動でしょうか。
一枚目の写真は12時55分に撮影しています。
二枚目の写真は18時10分に撮影しています。
やはり、五時間は病院の空気を吸っていたことになります。


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みかん猫67

喪中はがき

年末になると、〈喪中はがき〉というのが届くようになります。
以前は、肉親、特にご父母が亡くなられたというお知らせが届いていました。
人が亡くなるということは、ご家族にとっては悲しい出来事ですが、順番であるなら、〈喪中はがき〉を受け取ったこちらも、亡くなられた方のご冥福を素直にお祈りできます。

ところが、今年、最初に届いた喪中を知らせるががきは、親が子供の死亡を知らせるものでした。
つまり、亡くなったのは私の教え子、本人だったのです。
教え子が亡くなるというのは、今回が始めてではありませんが、親御さんから、子供(教え子)が亡くなったことを知らせるはがきを頂いたのは、おそらく今回が始めてだと思います。

亡くなった卒業生は、学生時代から心臓に持病かかえていました。
その所為か、大学も人より授業料を多く払って卒業していきました。
心臓に持病をかかえていても、コンパなどには出席して、嬉しそうにお酒を飲み、場が盛り上がってくると、〈独り社交ダンス〉を披露してくれていました。
クラブ活動はダンス研究部に所属していましたから、ダンスはお得意なのでしょうが、パートナーも居ないのに、真剣な表情で独りくるくる踊っていた姿を思い出します。

そのうち、彼のダンスが呼び物になり、コンパとなると、同級生や後輩たちからダンスのリクエストがかかるようになりました。
「○○さん、ダンス、ダンス」と、声がかかると、嬉しそうな笑顔を見せて立ち上がり、相手も、音楽もない状態で踊って見せてくれていました。

酒飲んで、くるくる回って踊るもんだから、みんなから「○○さん、本当に心臓が悪いの・・」と、いつも言われていました。
そんなときも、ニタッと笑うだけでした。
生前のそんな姿を思い出しながら、このような文章を書いていると涙が流れてきます。
若い人の死は、肉親ならずともたいへん悲しいものです。


JJ C5 21 025 福岡市東区 K5ls DA15 4ED AL Lim.#
福岡市東区 / PENTAX K5 + DA 15mm F4 ED

昔から、「親より先立つのは、最大の親不孝」と言われています。
それはそうだなと思いますが、○○くんを責める気にはなれません。
足場の悪い雲の上でも、〈独り社交ダンス〉を舞ってくれていると良いのだけれど。


JJ J1 13 005 福岡市中央区 α77 + MAF 24 2.8#
福岡市中央区 / SONY α77 + Minolta AF 24mm F2.8

福岡市の大濠公園で〈独り踊り〉に興じていたおじさん。
このおじさんの踊りは、旅役者が舞台で踊るようなものでした。
「写真撮って良い?」と聞くと、笑顔で「あいよ」と、一層、身振り手振りを大きく、くねくねして見せてくれました。
おじさんの容姿が見事なら、前に置かれたラジカセも、なかなか見事なものでした。


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みかん猫67

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