さくらの花やお花見で賑わう公園なら福岡市内にもあるので、筑豊までのこのこ出しゃばって行く必要は無いのかもしれませんが、私をそこまで引っ張り出したのは一枚の写真興味を持ったからです。
その写真とは、インターネットのホームページで見た、Kさんが添田公園で撮った看板の写真です。
演歌歌手と思われる女性のポスターが貼られた看板で、おそらくさくらの季節の催しものに、演歌歌手が来るのでしょう。
Kさんの写真からは誰が来るのかは判別できませんません。
いや、分からない方は私好みです。
写真は信憑性が高いと思い込まれている宿命みたいなものを持っていますが、私はそこのところを崩して写真はいかに曖昧かと知ったうえで、その曖昧さを楽しみたいと日頃から思っています。
「こうである」と云うのではなく「こうとも見える。ああとも思える」そんな曖昧な写真も楽しいのではないでしょうか。
「朝日を撮った写真は誰もが朝日だと分かるように撮らなければいけない」なんてことはクソクラエです。
私は朝日に見える。私は夕日だと見た。それで良いじゃないですか。
誰が見ても同じ結論に結びつくことが大切な写真もあれば、「私にはこう見えるけど、あなたの見方は違う」と云った写真もあって良い。
日本の写真界はながくジャーナリズムが主体でやってきました。
ジャーナリズムの世界は、曖昧であってはいけません。
写真は文章の信憑性を裏打ちするものとして、ある一つの見方しか許されなかったのです。
文章側から言うならば、写真は曖昧なものだから、文章の力を借りて特定の意味しか読み解けないようにしているのです。
さて、件の看板。添田公園で看板の前に立ってみると、写っているのは、やはり演歌歌手の〔伍代夏子〕さんでした。
♪「カトキッチャン カトキッチャン 食べて美味しい カトキチの冷凍讃岐うどん」♪の伍代夏子さんです。
添田公園への撮影にはLEICA M9にBiogon 28mm F2.8 ZMとPENTAX K-7にDA35mm F2.8 Macroを着けて連れて行きました。
看板をその二台のカメラで撮りましたが、焦点距離の違いから距離感が違っています。
当然ですが、ポスターが大きく写っている方が焦点距離の長いPENTAXです。
APS-Cサイズの35mmですから、フルサイズに換算すると53mmくらいになるでしょうか。
53mmは35ミリ判フルサイズの標準レンズの範疇に入ります。
53mmと28mm。標準レンズと広角レンズです。
画面右側にある提灯の大きさを同じくらいにしていますが、提灯から看板までの距離感、その奥の距離感が焦点距離の違いの影響で違って写っています。
焦点距離一つでも、写真から受ける印象は違ってしまうのですから、やはり写真は曖昧なものですよ。
曖昧さをぬぐい去るために、ジャーナリズムやノンフィクションの写真家の皆さんは、ズームレンズなんかに頼っていないで、ブレッソンのように標準レンズを使い続けるのも一つの見識かも知れません。
と云うことで、下の写真は添田公園で標準レンズを使って撮ったものです。
この距離感と視角が人間の視線に近いことから〔標準レンズ〕と呼ばれています。
釈迦に説法でしたね。




















